見積もりを同じ土俵に乗せる考え方
「顧問料」は一つの金額だが、中身は事務所ごとに違う。業務範囲・実施頻度・追加報酬の条件に分解し、同じ質問への回答を並べれば、金額の大小より先に比較の軸がそろう。見積書の一行だけでは、どの作業が何回まで含まれるかを読み替えられないからだ。
質問を送る順番
見積もり依頼のメールに質問1〜5を添え、返答と見積書を一緒に受け取る。契約書の段階で6〜7を確認し、回答と食い違えば契約前に質問をやり直す。
定常作業の境界を確かめる質問
- 「記帳代行はどこまで含まれますか」。仕訳入力だけか、証憑の整理・勘定科目の判断・未処理残高の指摘まで含むかを分けて聞く。ここが曖昧だと、月次で追加請求が起きる可能性がある。
- 「月次決算はいつ、何を納品しますか」。締め日・提出期限・成果物の形式を具体的に確認する。受け取れる成果物は契約ごとに違うため、形式まで指定して聞く。
- 「給与計算と年末調整は含まれますか」。従業員数・支払方法・入退社の都度対応まで確認する。人数が増えたときの扱いも同じ質問で聞いておく。
追加報酬が発生する条件を聞く
- 「顧問料に含まれる相談は月何回までですか」。回数上限、1回あたりの時間、メールと訪問の別、超過時の単価を確認する。上限の解釈が食い違うと、月末に想定外の請求につながる。
- 「追加請求になる作業は何ですか」。追加申告・是正・税務調査の立会い・緊急対応などを列挙してもらい、単価の有無も聞く。作業ごとに金額が決まっているか、時間単位かを分けると比較しやすい。
委任範囲と成果物を書面で残す
- 「委任状と契約書に業務範囲をどう書きますか」。見積書・契約書・委任状の記載が同じ内容かを突き合わせる。口頭の説明だけを根拠にすると、後から範囲の解釈が分かれる。
- 「連絡手段と責任の分かれ目はどこですか」。担当者名、回答までの目安、こちらが渡す資料の期限、訂正時の負担を書面で確かめる。契約書に別紙として作業一覧を添付できるかも確認したい。
回答を並べて比較し、限界を知る
同じ質問番号の回答を2〜3社で横に並べ、金額は最後に読む。回答が空欄の事務所は、その作業を前提にしていない可能性がある。比較表を作る必要はなく、質問番号ごとのメモで足りる。条件は事務所規模・業種・地域で変わるため、自社の見積書で再確認する。本記事は質問の枠組みであり、個別の税務判断は税理士等の専門家に相談してほしい。