なぜ日本の働く世代に頭痛が多いのか
日本頭痛学会の発表では、国内の約4000万人が頭痛に悩まされているとされ、そのうち片頭痛は約840万人に上ります。とりわけ20代から40代の女性に多く、仕事や家事に支障をきたすケースが少なくありません。
デスクワークの増加も影響しています。長時間同じ姿勢で画面を見つめ続けると、首や肩の筋肉が緊張し、緊張型頭痛の対処法を考える人が増えています。加えて、日本の職場には「痛みを我慢するのが当たり前」という空気が残っており、受診が遅れる傾向があります。市販薬を自己判断で長期間使い続けるうちに、薬がかえって頭痛を悪化させる薬物乱用頭痛に陥る人もいます。
頭痛のタイプを見極める三つのポイント
頭痛と一口に言っても、種類によって対処法はまったく異なります。まずは自分の痛みの特徴を確認しましょう。
片頭痛は、片側のこめかみあたりが脈打つように痛み、吐き気や光・音への過敏を伴います。発作は4時間から72時間続くことがあり、月に数回繰り返す人もいます。
緊張型頭痛は、頭全体がベルトで締め付けられるような鈍い痛みです。肩こりや目の疲れを伴い、夕方にかけて悪化することが多いのが特徴です。
群発頭痛の症状は少し異なり、片方の目の奥がえぐられるような激痛が数週間から数カ月にわたって毎日のように起こります。男性に多く、痛みが強くて我慢できないため、早めの専門医受診が必要です。
注意したいのは、突然の激しい頭痛や、手足のしびれ、ろれつが回らないといった症状を伴うケースです。くも膜下出血などの危険な病気のサインである可能性があるため、迷わず救急を呼んでください。
タイプ別の対処法と費用の目安
| 頭痛のタイプ | 特徴 | 主な対処法 | 費用の目安 | メリットと注意点 |
|---|
| 片頭痛 | 片側性の拍動痛、吐き気、光音過敏 | 静かな暗い部屋で休む、トリプタン系の処方薬 | 保険適用で負担が抑えられる | 発作の時間を短くできる。診断が必要 |
| 緊張型頭痛 | 両側の締め付け感、肩こり、夕方に悪化 | ストレッチ、姿勢改善、漢方薬 | 市販薬は手頃な価格、漢方は保険適用の場合も | 自宅で始めやすい。習慣化が鍵 |
| 群発頭痛 | 目の奥の激痛、涙や鼻水を伴う | 専門医による治療が必須 | 保険診療で対応可能 | 放置は危険。疑った時点で受診を |
| 薬物乱用頭痛 | 鎮痛薬を月10日以上使い悪化 | 薬をいったん中断、専門医の指導 | 受診費用は保険適用 | 自分では気づきにくい。使用頻度を確認 |
日常生活でできることから始める
頭痛対策の基本は記録です。いつ、どのくらい、どんな痛みだったかを手帳やアプリに残すと、自分の誘因が見えてきます。睡眠不足、寝すぎ、空腹、チョコレートや赤ワイン、気圧の変化など、誘因は人それぞれです。
気圧の変化に敏感な人も多く、日本ではこうした「気象病」の悩みが話題になっています。雨の前に頭痛が起きやすい人は、天気予報の気圧情報をチェックし、その日の予定を調整するのも一つの方法です。気象病による頭痛の対策としては、耳まわりのマッサージや適度な水分補給も試してみる価値があります。
デスクワーク中心の人は、1時間に一度は立ち上がって首と肩を回しましょう。パソコンの画面を目の高さに合わせ、猫背を防ぐだけでも緊張型頭痛は減らせます。カフェインの摂りすぎにも注意が必要で、コーヒーは1日2、3杯を目安にするとよいでしょう。
市販薬と専門治療の使い分け
片頭痛に効く市販薬の選び方として、まずはロキソニンSやイブプロフェン配合の薬を試す人も多いでしょう。即効性がありますが、月に10日以上使うと薬物乱用頭痛のリスクがあります。あくまで頓用として使い、頻度が多いと感じたら専門医に相談してください。
片頭痛の診断を受けた人には、発作時に使うトリプタン系の薬が処方されます。さらに近年、CGRP関連の新しい予防薬も登場し、従来の薬が効きにくかった人にも選択肢が広がっています。いずれも保険が適用され、経済的な負担は抑えられます。
都内で働く30代の女性は、片頭痛で月に数回仕事を休んでいました。頭痛外来を受診してトリプタン系の薬と生活改善を組み合わせたところ、発作は月に1回程度に減ったといいます。専門医の診察は、このようなケースで効果を発揮します。
漢方や鍼灸といった選択肢もあります。特に緊張型頭痛では、肩こりを改善する漢方薬や鍼治療を併用する人も増えています。症状に合わせて、西洋医学と東洋医学を組み合わせるのも賢い方法です。
専門外来を探すには
**片頭痛の治療を検討しているなら、東京には専門外来が多く、平日の夜間や休日に対応するクリニックもあります。頭痛外来を探すなら、日本頭痛学会が認定する専門医のリストがおすすめです。ウェブで公開されており、自宅近くの医療機関を見つけやすいのが魅力です。
都市部だけでなく、地方でも頭痛外来は増えています。平日に受診しにくい人は、オンライン診療に対応しているクリニックも選択肢に入れてください。受診の際は、記録した頭痛ダイアリーを持参すると診断がスムーズです。何年前から、どのくらいの頻度で、どんな痛みかを医師に伝えましょう。
まずは一週間の記録から
頭痛を「我慢するもの」と決めつける必要はありません。正しいタイプ診断と適切な対処で、多くの人の症状は改善します。まずは一週間、自分の頭痛を記録してみてください。痛みの強さ、時間帯、その日の睡眠や食事を書き出すだけで、見えてくるものがあります。記録が増えたら、一度専門外来の扉を叩いてみましょう。きっと新しい対処法が見つかります。