日本人の頭痛はなぜ多いのか
頭痛には、検査では異常が見つからない「一次性頭痛」と、脳や血管の病気などが原因で起こる「二次性頭痛」があります。日本人に多いのは前者で、代表的なのは緊張型頭痛と片頭痛です。緊張型頭痛は頭全体が締め付けられるような痛みで、肩こりや首のこりを伴うことが多く、推定約2,200万人がいるとされます。片頭痛はズキズキと脈打つような痛みで、光・音・においに敏感になるのが特徴です。
片頭痛は20〜40代の女性に多く見られ、女性の有病率は約12.9%と男性(約3.6%)の3倍以上という調査結果もあります。女性ホルモンの変動が関与するため、月経周期に合わせて悪化する「月経関連片頭痛」に悩む方も少なくありません。また、近年は在宅ワークの普及に伴い、ダイニングテーブルでの作業や長時間の座位姿勢によって首や肩に負担がかかり、頭痛を訴える人が増えています。
ストレス、睡眠不足や寝すぎ、天候の変化、空腹、においなど、頭痛の誘因は多種多様です。日本人は特に「におい過敏」の傾向があるともいわれ、香水や柔軟剤の香りで片頭痛が誘発されるケースがあります。こうした自分の誘因を知っておくことは、頭痛を予防する第一歩になります。
頭痛のタイプを見極めるチェックポイント
自分がどのタイプの頭痛かを見極めるには、いくつかのポイントがあります。片頭痛の場合、痛みは片側に現れることが多いですが、両側に現れることもあり、動くと痛みが増すため「じっとしていたい」と感じるのが特徴です。吐き気や嘔吐を伴うことも多く、暗い静かな部屋で休みたいと思うようになります。
一方、緊張型頭痛は両側性で、圧迫されるような鈍い痛みが続きます。片頭痛のように吐き気を伴うことはまれで、仕事や家事を続けながら我慢できる程度の痛みであることも多いですが、それが毎日続くことで心身ともに疲弊してしまいます。
群発頭痛という、目の奥がえぐられるような激痛が数週間から数カ月にわたって繰り返すタイプもあります。これは男性に多く、痛みのあまり夜中に目を覚ますこともあります。こうした激しい頭痛がある場合は、早めに医療機関を受診してください。突然の激しい頭痛、手足のしびれや言葉の障害を伴う頭痛は、くも膜下出血や脳梗塞などの危険なサインです。その場合は迷わず救急を呼びましょう。
自宅でできる頭痛のセルフケア
頭痛を和らげるには、まず自分の生活習慣を見直すことが大切です。睡眠時間を一定に保つこと、空腹を避けること、こまめに休憩を取ることは、どのタイプの頭痛にも有効な基本対策です。特に片頭痛持ちの方は、休日に寝だめするとかえって頭痛を引き起こすことがあるため、平日と休日の起床時間の差を1〜2時間以内に抑えるのがおすすめです。
痛みが出たときには、静かな薄暗い部屋で休息を取り、頭や首の後ろを冷やすと楽になることがあります。片頭痛では冷やすのが有効ですが、緊張型頭痛では肩や首を温めて血行を促すほうが良いとされます。市販の鎮痛薬を使う場合は、痛み始めたら早めに服用するのがポイントです。ただし、月に数回以上市販薬を頻繁に使っている方は、薬の使いすぎによる頭痛を起こしている可能性があります。その場合は自己判断をやめて医師に相談してください。
アロマセラピーも補助的な方法として知られています。ラベンダーやペパーミントの精油は、嗅覚から脳の感情や記憶をつかさどる大脳辺縁系に直接働きかけ、ストレス応答や痛みの感じ方を調整する作用があるとされています。仕事の合間にティッシュに1滴垂らして香りを楽しむだけでも、気分転換になります。
専門医の受診を考えるタイミング
「週に2回以上頭痛がある」「市販薬が効かない」「仕事や学業に支障が出ている」といった場合は、頭痛専門外来の受診を検討しましょう。日本頭痛学会認定の頭痛専門医が在籍するクリニックでは、問診を中心に診断が行われ、必要に応じてCTやMRIなどの検査が実施されます。初診の診療費は3割負担で3,000円前後が目安で、CT検査は約4,000円、MRI検査は約7,000円程度です。
| 項目 | 内容 | 費用の目安(3割負担) | こんな人におすすめ | メリット | 注意点 |
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| 頭痛外来(初診) | 専門医による問診・診断 | 3,000円前後 | 繰り返す頭痛に悩む方 | 正確な診断と処方 | 予約制の施設が多い |
| CT検査 | 脳の断面画像を撮影 | 約4,000円 | 二次性頭痛の疑いがある方 | 検査が短時間で済む | 放射線被曝がある |
| MRI検査 | 脳の詳細な画像を撮影 | 約7,000円 | 精密な検査が必要な方 | 被曝がなく詳細に確認できる | 検査時間がやや長い |
| 片頭痛の治療には、発作時の痛みを抑える急性期治療と、発作そのものを減らす予防治療があります。急性期にはトリプタン製剤などの専用薬が使われます。予防治療としては、月1回の自己注射で受ける抗CGRP関連抗体製剤があり、保険適用で受けられる施設も増えています。これまで市販薬が効かずに困っていた方にとって、新たな選択肢になっています。 | | | | | |
| 頭痛の診断と治療は健康保険の対象です。さらに、高額療養費制度や自治体の医療費助成制度の対象となる場合もあります。長引く頭痛を我慢して過ごすのは、人生の貴重な時間を失っていることと同じです。適切な治療を受ければ、頭痛は十分コントロールできる病気です。まずはお近くの頭痛外来や、日本頭痛学会のウェブサイトで専門医を探してみてはいかがでしょうか。 | | | | | |