頭痛の原因は人それぞれ。まずは「タイプ」を知る
頭痛には大きく分けて、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の3タイプがあります。
片頭痛は、ズキズキと脈打つような痛みが数時間から数日続き、光や音、吐き気を伴うのが特徴です。片頭痛の患者さんは日本に約840万人いると推定されていますが、その80%以上が医療機関での治療を受けていないと言われています。
緊張型頭痛は、頭全体が締め付けられるような重い痛みで、肩こりや首のこりとセットで起こることが多いタイプ。デスクワーク中心の生活を送る方に多く見られます。
群発頭痛は、目の奥がえぐられるような激痛が数週間から数ヶ月にわたって繰り返すもので、男性に多いと言われています。
さらに近年注目されているのが「天気痛(気象病)」です。気圧の変化に内耳が敏感に反応し、自律神経が乱れることで頭痛が起こります。日本では約1,000万人以上が悩んでいるとも言われ、特に梅雨や台風シーズン、季節の変わり目に症状が悪化しやすいのが特徴です。
ここで注意したいのは、頭痛のタイプによって効果的な治療法や薬が異なるという点です。「頭痛薬」とひと口に言っても、片頭痛に効く薬と緊張型頭痛に効く薬は違います。自己判断で市販薬を飲み続けるより、まずは専門医に相談するのが近道です。
病院に行くべきサインと、行き先の選び方
「市販薬でコントロールできているから」と受診を先延ばしにしている方は少なくありません。しかし、以下のようなサインがある場合は、頭痛外来や脳神経内科、脳神経外科を受診しましょう。
- ズキズキして吐き気がある、光や音がつらい
- 月に2回以上頭痛がある、または頭痛で予定を崩すことがある
- 市販薬が効かない、または効く量が増えてきた
- 痛み止めを月10日以上飲んでいる
- 朝起きた時から痛い、首こり・肩こりとセットでつらい
- 天気や気圧、寝不足、ストレスで悪化しやすい
- 生理前後に悪化する
また、突然の激しい頭痛、意識障害、けいれん、片側の手足のしびれなどを伴う場合は、くも膜下出血や脳卒中などの可能性があるため、迷わず救急を受診してください。
受診先を選ぶときは、日本頭痛学会が認定する「頭痛専門医」のいるクリニックを選ぶと安心です。頭痛外来は全国の主要都市にあり、仕事帰りに通えるよう夜間診療を行っているクリニックも増えています。地域のクリニックを探す際は、「頭痛外来 地域名」で検索すると、最寄りの施設が見つかります。
片頭痛の治療薬はここまで進化している
片頭痛の治療は「痛いときに飲む急性期治療」と「発作を予防する予防治療」の2本柱です。近年、この両方に使える新薬が登場し、治療の選択肢が大きく広がりました。
2025年12月に日本で発売された「ナルティークOD錠75mg(一般名:リメゲパント)」は、急性期治療と予防の両方に使える日本初の経口薬です。これまで別々の薬を使う必要があった患者さんにとって、新たな選択肢となっています。
予防薬としては、2021年に承認されたCGRP関連抗体薬(エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ)が注目されています。これらは月に1回の皮下注射で発作頻度を大幅に減らす効果があり、効果が現れるまでに時間がかかる内服予防薬と比べて、高い効果が期待できます。
急性期治療の中心はトリプタン製剤です。片頭痛特有の病態に直接作用する薬で、速さ重視ならマクサルト、効果の切れ味ならレルパックス、再発予防ならアマージ、剤形で選ぶならイミグラン、バランス型ならゾーミッグというように、症状や生活スタイルに合わせて使い分けられます。
片頭痛の治療薬は保険適用になるものが多く、費用面の負担は医療機関によって異なります。診察のみであれば、3割負担でおおよそ2,000円から3,000円程度が目安です。MRI・CT検査を行う場合は5,000円から1万円程度かかることもありますが、頭痛の原因をきちんと調べたい方には検討する価値があります。
主な片頭痛治療薬の比較
| カテゴリー | 製品名 | 使い方 | 特徴 | 注意点 |
|---|
| 急性期治療(トリプタン) | マクサルト、レルパックス、アマージ、イミグラン、ゾーミッグ | 発作時に服用 | 片頭痛特有の痛みに直接作用 | 心血管・脳血管疾患の方は使用不可 |
| 急性期+予防(経口薬) | ナルティーク(リメゲパント) | 発作時または日常服用 | 両方に使える日本初の経口薬 | 保険適用の詳細は医療機関に確認 |
| 予防(CGRP抗体薬・注射) | エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ | 月1回皮下注射 | 発作頻度を大幅に減らす | 費用は3割負担で1本あたり1万2,000円〜1万3,000円程度 |
天気痛・気圧頭痛への対策
日本は四季があり、梅雨や台風、季節の変わり目に気圧が大きく変動します。天気痛に悩む人は多く、気圧の変化を感じ取る内耳が敏感に反応して自律神経が乱れることが原因と考えられています。
天気痛への対策として、以下の方法が効果的です。
- 気圧通知アプリ(頭痛ーるなど)を活用して、発作が起きそうな日を事前に把握する
- 耳周りのマッサージや温めで内耳への刺激を和らげる
- こまめな水分補給と深呼吸で自律神経を整える
- 天気が崩れそうな日は無理なスケジュールを組まない
発作が出そうな日の朝に、あらかじめ対策をしておくことで、症状を軽くできることがあります。「気圧が下がると必ず頭痛になる」という自覚がある方は、天気予報をチェックする習慣をつけるだけでも大きく違います。
頭痛ダイアリーのすすめ
頭痛のタイプや誘因を把握するために、頭痛ダイアリーをつけることをおすすめします。いつ、どのくらいの強さで、どんな痛みが、どのくらい続いたのかを記録しておくと、医師との診察がスムーズに進みます。
スマートフォンのアプリでも簡単に記録できます。天気や気圧、睡眠時間、生理の有無なども一緒に記録しておくと、頭痛と生活習慣の関係が見えてきます。市販の頭痛ダイアリーやアプリを活用して、自分の頭痛と向き合ってみましょう。
行動を起こすなら、今
頭痛は「我慢するもの」ではありません。適切な治療を受ければ、コントロールできる病気です。
まずは一歩として、以下のアクションを検討してみてください。
- 頭痛ダイアリーを1週間つけてみる
- 頭痛外来や脳神経内科がある近くの医療機関を調べる
- かかりつけ医に相談して、頭痛専門医を紹介してもらう
「薬を飲んで何とか出勤している」状態が続いているなら、それは医学的に見ればパフォーマンスが低下している状態です。痛みを我慢するのではなく、自分に合った治療法を見つけることで、仕事も生活も変わります。
一人で悩まず、専門医と一緒に最適な治療を探していきましょう。あなたの頭痛は、必ず改善できます。