日本人に多い頭痛の現状
頭痛の患者数は日本で4,000万人とも言われ、国民の3人に1人程度が経験する身近な症状です。デスクワークによる肩こり・首こり、気圧の変化、慢性的なストレス。日本人の生活習慣には、頭痛を引き起こす要因が多く潜んでいます。
頭痛は大きく分けて、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などの一次性頭痛と、脳卒中や脳腫瘍など命に関わる病気が原因の二次性頭痛に分類されます。特に注意したいのは、片頭痛と思っていたら実は緊張型頭痛だった、あるいはその逆というケース。症状が似ているため自己判断が難しく、長引く頭痛は専門医の診察を受けるのが望ましいとされています。
緊張型頭痛の特徴と対策
日本で最も多いのは緊張型頭痛です。頭全体が締め付けられるような痛みで、肩こりや首こりを伴うのが特徴。長時間の同じ姿勢や精神的なストレスで、首や肩の筋肉が緊張し、血流が悪くなることが原因と考えられています。
デスクワーク中心の生活を送る人に多く見られ、40代以降の中高年女性に多いという報告もあります。対策としては、首や肩のストレッチ、姿勢の見直し、頭痛体操といった非薬物療法が基本です。痛みが強い場合は、アセトアミノフェンやNSAIDsなどの鎮痛薬を使用します。漢方薬では葛根湯や釣藤散が用いられることもあります。
片頭痛の特徴と対策
片頭痛は、片側がズキズキと脈打つように痛むタイプで、光や音に敏感になったり、吐き気を伴ったりするのが特徴です。ストレスがかかっている最中よりも、週末や休日などストレスから解放されたときに起きやすいという厄介な性質があります。
軽度から中等度の痛みにはアセトアミノフェンやNSAIDs、中等度以上の痛みにはトリプタン製剤が推奨されています。漢方薬では呉茱萸湯、五苓散、桂枝人参湯などが使われるケースもあります。月に2回以上発作があったり、生活に支障を来す頭痛が月に3日以上あったりする場合は、予防療法の導入も検討されます。近年ではCGRP関連抗体薬といった新しい予防薬も登場し、片頭痛治療の選択肢は広がっています。
気圧の変化による頭痛
日本特有の事情として、気圧の変化で頭痛が悪化する「天気痛」があります。梅雨や台風の時期、低気圧が近づくと頭痛が起きるという人は少なくありません。気圧の低下が自律神経のバランスを乱し、片頭痛やめまいなどを引き起こすと考えられています。
天気痛への対策としては、気圧の変化を事前に把握することが第一歩。頭痛ーるなどの天気痛予報アプリを活用すれば、体調管理の目安になります。耳の血行を良くするマッサージや、入浴でのリラックスも効果的とされています。
頭痛治療の選択肢を比較する
| カテゴリー | 代表的な選択肢 | 費用の目安 | こんな人に | メリット | デメリット・注意点 |
|---|
| 市販の鎮痛薬 | ロキソプロフェン製剤、イブプロフェン製剤 | 薬局で手頃な価格 | 軽度で頻度の少ない頭痛 | 手軽に入手できる | 使いすぎると薬物乱用頭痛につながる |
| 漢方薬 | 葛根湯、呉茱萸湯、五苓散など | 保険診療で処方可能 | 体質に合わせてケアしたい人 | 比較的副作用が穏やか | 効果が現れるまで時間がかかる |
| 頭痛外来 | 脳神経内科、頭痛センター | 保険診療の範囲 | 慢性化している人 | 正確な診断と最新治療を受けられる | 予約待ちが発生することもある |
| 予防療法 | CGRP関連抗体薬、抗てんかん薬など | 専門医の判断による | 発作が月に数回以上ある人 | 発作の頻度と重症度を減らせる | 日本頭痛学会専門医の処方が必要 |
専門医に相談するタイミング
頭痛外来や頭痛センターは、全国の主要都市に設置されています。大阪医療センターの頭痛センターのように、脳神経内科と脳神経外科が連携し、CTやMRIによる検査から最新の予防療法まで一貫して対応する施設もあります。
一方で、すべての人が頭痛外来を受診する必要があるわけではありません。市販薬で改善する軽度の頭痛であれば、まずは生活習慣の見直しから始めましょう。ただし、次のような症状がある場合は早めに医療機関を受診してください。
- 突然の激しい頭痛
- これまでにない強い痛み
- 手足のしびれや言葉のもつれを伴う頭痛
- 発熱や首のこわばりを伴う頭痛
日々の頭痛対策と受診の流れ
毎日の頭痛に悩む人には、頭痛ダイアリーの記録をおすすめします。いつ、どのくらいの強さで、どのような状況で痛みが出たのかをメモしておくと、受診時に医師へ正確に伝えられます。
市販薬の使用は、週に2〜3日以内に抑えましょう。それ以上頻繁に使っていると、薬が切れたときに頭痛が起こる「薬物乱用頭痛」に移行するリスクがあります。痛み止めを飲む回数が増えていると感じたら、早めに専門医へ相談してください。
受診の流れとしては、かかりつけ医か脳神経内科を受診し、必要に応じて頭痛外来や頭痛センターを紹介してもらうのが一般的です。日本頭痛学会の専門医が在籍する施設を探すのも一つの方法です。
具体的な例を挙げると、大阪在住の田中さん(仮名)は、長年片頭痛に悩まされていましたが、頭痛ダイアリーをきっかけに予防療法を開始。発作の頻度が月に4回から1回程度まで減ったそうです。頭痛は我慢するものではなく、適切に対処すれば改善できる症状なのです。
最後に
頭痛は誰にでも起こり得る身近な症状ですが、その裏に重大な病気が隠れていることもあります。自己判断で市販薬に頼り続けるのではなく、自分の頭痛のタイプを知り、必要に応じて専門医の力を借りることが大切です。
今日から頭痛の記録を始めてみてはいかがでしょうか。全国の頭痛外来や頭痛センターでは、専門的な診断と治療を受けることができます。つらい頭痛を抱えたまま毎日を過ごす必要はありません。